一宮町のインフラ事情~土地を探す際に確認すべき3つのポイント その1~

その1 知らないと怖い、水道にまつわる追加費用

日本有数のサーフタウンとして、一段と人気が高まる一宮町エリア。コロナ禍のなか大手企業を中心にテレワークが浸透していることが影響してるのか、最近では県外からの移住や二拠点生活(デュアルライフ)といった新しいライフスタイルをもとめて一宮町エリアで土地をお探しになる方が増えています。 これは、一宮町が都心までのアクセスが良いこと(「JR外房線」上総一宮駅~東京駅間は乗り換えなしで約1時間30分程度(「特急わかしお」なら約1時間))、そして歴史あるサーフタウンではありながら今なお独自の進化をつづけていることが、ひと際人々の目を引く存在となっているからだと思います。

しかしながら、東京から近いといってもそこは海沿いの小さな町、、、まだまだ農地も多く、都市エリアで家を建てる場合と勝手が違うこともしばしば。土地以外で想定外の費用がかかったりすることがあるので、土地を探す際には十分注意が必要です。特に、購入予定の土地(以下、「対象土地」といいます)の地目(不動産登記法にもとづいて定められている土地の区分)が「田」や「畑」といった農地に該当する場合には、農地転用といった手続きが必要である他、上下水道等の生活インフラが確保されていないケースがあります。

本稿では、はじめて田舎の土地を購入する際に、必ず確認すべき生活インフラにかかわる以下の3つのポイントを解説したいと思います。

1.対象土地に面する道路(前面道路)に水道管(上水)が通っているか
2.対象土地に接する排水溝の有無
3.汚水・生活排水の処理はどうなっているか

上記は土地購入にあたり不動産会社から説明がなされる事項ではありますが、あらかじめチェックポイントをおさえておくことで、候補の絞り込みなど物件選びが効率的になるかと思います。

1.対象土地に接する道路(前面道路)に水道管(上水)が通っているか

一宮町エリアでは、元来農地として利用されていた土地を住宅用地として販売するケースがしばしば見受けられます。そのような農地を購入して家を建てようとする場合、購入土地に接する道路(前面道路)に水道本管が通っているかで、トータルコストが大きく変わる可能性があります。ちなみに、一宮町の東野地区など土地区画整理がおこなわれたエリアは水道本管が整備されています。 

なお、水道本管の布設状況については、調査したい場所の管轄(受持ち区域)の水道事務所・支所窓口でご確認することもできますが、通常は不動産会社などの仲介業者が物件調査の際に水道局から「水道管網図」と呼ばれる図面を取得していますので、対象土地の仲介業者に聞いてみるのが早いでしょう。

工事費用について
通常、水道本管(以下、「配水管」といいます)の宅地への引き込み工事費用は自己負担となります。また、イラスト図のように対象土地の前面道路に配水管が通っていない場合には、新設配水管を通すための布設工事費用を負担しなければならず、その費用は高額になることが多く注意が必要です。

~対象土地の前面道路に配水管が通っている場合~
前面道路に配水管が通っており、対象土地への水道管(給水管)の引き込みがある場合には工事は不要です。一方、水道管の引き込みがさていない場合には水道引き込み工事が必要となります。イメージ図にあるように、水道管引き込み工事は道路に溝を掘って配管する作業が発生するため、配水管との距離が遠くなるほど費用が高額になります。なお、水道管引き込み工事の費用は、路面の条件等によっても異なるので一概には言えませんが1mにつき2~3万円程度かかります。なお、前面道路が厚みのあるアスファルト舗装の場合には溝を掘るのに時間がかかるため、費用が嵩む要因となります。また、幹線道路沿いなど交通量の多い道路が対象土地の前面道路となる場合、交通誘導や警備員を配置する費用などが工事費用に上乗せされます。ちなみに、引き込みする水道管の口径には13mm、20mm、25mmなどの種類があります。古い13mmのタイプは水圧が低く、二世帯住宅など水道使用量が多い場合は20mm以上が一般的です。

~対象土地の前面道路に配水管が通っていない場合~
前出のイラスト図のように、対象土地の前面道路に配水管が通っていない場合には、新しい配水管を前面道路まで延ばしてくる必要があります。(なお、配水管それ自体の材料費は自治体の負担となります)この場合、引き込み工事費用に加えて、新設配水管の布設費用を自己負担することになります。
一宮町エリアも現況が農地の場合には、前面道路に配水管がとどいていないことも多いので、対象土地の仲介業者に聞いてみてください。なお、千葉県では新設の配水管の布設に対して「配水管の布設に対して負担軽減措置の制度」が設けており、制度要綱に該当する場合には自治体が布設工事費を全額/一部負担するケースもありますので、確認してみるのがよいでしょう。
もうひとつ注意すべき点として、前面道路が他人の所有する私道である場合、所有者から道路掘削の承諾をとっていなければ、配水管の敷設工事ができなくなります。このため、通常は承諾書といった形で書面を取り交わす必要がありますが、当該私道の所有者と連絡が取れない、なかなかハンコを押してくれない(ハンコ代を要求してくる)等、トラブルになるケースも少なくないので承諾書の有無や私道の所有者について事前に仲介業者に確認しておくのが肝要です。

工事費以外の費用
水道管引き込み工事だけでも、相応のコストは見込んでおく必要があるのですが、実は工事費以外にも発生する費用が2つあります。
・給水申込納付金
・開発負担金

「給水申込納付金」及び「開発負担金」は、自治体によっては名称が異なる場合があるそうですが、千葉県では上記の名称が使われております。
「給水申込納付金」とは、水道を新しく引いたり、給水管(水道メーター)の口径を大きくする等する場合に、申込者が市へ納付する負担金のことです。 これは、水道利用者間の負担の公平と水道料金の高額化の抑制を図るため、新しく水道を利用する場合は、必要な費用の一部として口径別加入金を負担することで、利用者間の負担の公平を図るものとされています。(ちなみに、東京23区内では新規利用の場合でも納付金等の制度自体がないようですが、23区以外や他の地域では水道管設置の予算の関係や水の利権の関係で分担金を納付するケースが多いようです。)

長生郡(一宮町含む)エリアでは、以下の給水申込納付金がかかります。

「開発負担金」とは、新しく水道を引く場合で、かつ特に大量の水を使用する場合に必要となります。具体的には、一日に最大5立方メートル以上の水を使用する場合には建築物負担金を、宅地の造成する場合で1,000平方メートル以上の宅地造成するときには宅地負担金を、それぞれ納める必要があります。

その他留意事項
・給水管の種類・埋設時期
上水道が宅地内にひかれている場合でも、なかには旧式の「鉛管」や「鉄管」である場合があり、予期せぬ取り換え工事が必要となるケースもあります。取り換え工事費用は、敷地や建物の状況にもよりますが、三桁万円台になることもありますので、十分に注意が必要です。また、旧式の管は、さびによる劣化が生じてる場合があり、匂いや味、健康面への影響など、不快に感じる可能性があります。ゆえに、給水管がいつ頃埋設されたか、材質が何であるかを確認することが大切です。
なお、現在の水道管は「ステンレス鋼管」や「塩ビ管(HIVP管等)」などが一般的で、耐久性、耐食性、耐熱性に優れた素材とされています。

一般的に、不動産仲介業者が行う「重要事項説明」では、単に上水道の引き込みの有無や管の太さを説明するにとどまるため、管轄地域内の給水装置図面を保管している水道局に問い合わせるのが確実かと思います。

・他人の隣地を跨いでいる場合
古くから住宅が密集しているような地域や昔に分譲された土地などは、引き込み管を数軒でシェアしていたり、他人の隣地を経由して引き込みされているケースがあります。 このような場合、漏水事故が起こった場合に隣人トラブルになったり、水圧が不安定だったり、建築や土地利用に制限がかかる可能性があります。 こういった“昔の事情“に関しては、対象土地を相続した人も聞かされておらず、知らないことも多いので、事前に調査する必要があるでしょう。
このように、水道水(上水)ひとつ取ってもこれだけ確認すべき事項がありますし、本稿ですべてを網羅しているわけではありません。したがって、失敗しない土地探しをするには、仲介業者や自治体などとうまく連携しながら進めていくのがよいでしょう。